ELPの派生バンド「エマーソン・レイク&パウエル」が唯一行った1986年北米ツアーから、キングビスケット・フラワー・アワー放送用に収録された10月4日フロリダ州レイクランド・アリーナ公演を収録したブートレグ盤を4種、ここで紹介すると同時にフルアップいたします。※再掲載記事です
ELP再結成を画策していたキース・エマーソンとグレッグ・レイクに、ホワイトスネイクを脱退後、ドライブシャフト等でセッション活動をしていたコージー・パウエルが加わったELPOWELLは、アルバム2枚とツアーという条件でレコード会社と契約。
そしてリリースされたアルバムのセールスは好調で、大規模アリーナがメインの北米ツアーが86年8月15日テキサス州エル・パソよりスタートした。11月2日アリゾナ州フェニックス公演で北米ツアーを終え、翌年には英国や日本をツアーする計画だったそうだが、マネージメント側の金銭トラブルにより残りのツアーともう1枚のアルバム制作を中止。期待されたスーパーグループELPOWELLは短期間で活動を終えた。
数多くのブートレグ盤がリリースされているELPOWELLだが、デモ、セッション、リハーサル音源を除き、残されているツアー中のサウンドボード音源は上述のレイクランド公演たった1つである。この音源はKBFH放送用に収録されたもので、日本でも1987年にFM放送された。
放送直後から、放送音源を基にしたアナログブートが登場。その後も5種類のブートCDが登場しているが、それぞれ収録内容や音質に違いがあり、非常にややこしいことになっている。
15年ほど前には、レイクランド公演を収録した「LIVE IN CONCERT」が遂に待望のオフィシャル・リリースとなったが、ブートレグ盤の音源を流用して作られた代物であり、ファンの多くはガッカリさせられたはずだ。近年も再販されたようが内容は同じで、ブート盤のほうが収録曲数も音質も全ての面で上回ったままである。マスターテープは残されていないのだろうか。
レイクランド公演を収録したブートは5種類+2種類(どちらも非売品ボーナスCDR)を確認しているが、1公演完全収録されたものは未だ存在していない。どれが決定盤か判断が難しい。そこで、所有している4種のブートをアップするので、聴き比べて皆様でご自由に判断くださいませ。では、レッツ・スタート!😎
THE SCORE (61004)
1. The Score
2. Knife Edge
3. Pictures At An Exhibition
4. Touch And Go
5. Mars, The Bringer Of War
6. Karn Evil #9
1st Impression - Part.2
- America
レーベル不明、プレス1CD。レイクランド公演を収録したブートCDとしては、恐らく最も早く登場したものと思われます。42分収録と短いだけありカット及び編集跡だらけ。放送用原盤の1つからコピーされたのではないか、と私は勝手に推測しています。
内容自体は、1987年2月にFM東京「ゴールデン・ライブ・ステージ」にて放送されたものと同じ。FM東京放送版は冒頭や曲間にDJトークが入りますが、本作はそれがないのでFM東京のエアチェックではありません。
放送用の為、カット・編集痕が非常に多く、特にラスト"KARN EVIL #9 - AMERICA - RONDO"メドレーの編集は酷いものがあります。"AMERICA"は1フレーズに強引にまとめており、最も盛り上がる部分をバッサリとカット。続く"RONDO"も、中間のキースの狂気のソロ・パフォーマンスがコンパクトに編集されています。
本作最大の売りは、後発のオフィシャル盤には未収録の"PICTURES AT AN EXHIBITION"が収録されている点です。下段で紹介する後発ブート「WELCOME BACK TO POWELL'S SHOW」が登場するまで本作でしか聴くことが出来ませんでした。
「WELCOME BACK TO POWELL'S SHOW」に収録された"PICTURES AT AN EXHIBITION"はパッチ用のAUDソースが冒頭に少し被っており、細かく言えば僅かに欠落しています。音質も本作のほうが僅かだが良いです。完全なものに拘るマニアな人は、この1曲の為だけに本作を所有していても損はないかと。
それでは、丸々1枚の音源をどうぞ!
THE SCORE
COZINESS (OTR 65513/14)
DISC 2
1. The Score
2. Knife Edge
3. Still...you Turn Me On
4. Watching Over You
5. Learning To Fly
6. Pirates
7. From The Beginning
8. Lucky Man
9. Fanfare For The Common Man
10. Mars, The Bringer Of War
11. America
12. Rondo
※DISC1はELPの音源を収録している為、割愛
OFF THE RECORDレーベル、プレス2CD。DISC1に1972年ロングビーチ・アリーナ公演及びハンブルク公演、DISC2に1986年レイクランド公演を収録。ここではレイクランド公演について記述します。
1994年に登場したイタリア製ブート。本作と同内容のイタリア製ブートCD「BACK IN AMERICA」(ACS 078)が1992年にリリースされています。イタリアではこの内容で放送されたのでしょうか。元となった音源の出自が不明の為、何ともコメントが出来ません。
本作は、「THE SCORE」やオフィシャル盤に収録されている"TOUCH AND GO"が未収録となっています。代わりに「THE SCORE」で編集されていたラストのメドレーが完全な形で収録されています。
また"STILL...YOU TURN ME ON", "WATCHING OVER YOU"といった、他のブートには未収録の曲が収録されています。これらは後発ブート「WELCOME BACK TO POWELL'S SHOW」が登場するまで、本作及び「BACK IN AMERICA」でしか聴くことが出来ませんでした。
この2曲は今でも本作及び「BACK IN AMERICA」「WELCOME BACK TO POWELL'S SHOW」でしか聴くことが出来ません(後発盤は全て未収録)。この2曲が最も良い音質で収録されているのはイタリア製ブートの2枚。その為、2枚のイタリア製ブートは今でも価値があると言えるでしょう。
CD盤面や裏ジャケなど。ジャケットは折り込みタイプ。では、音源をどうぞ!
COZINESS 1986
WELCOME BACK TO POWELL'S SHOW (HL066/067#EP1)
DISC 1
1. The Score
2. Learning To Fly
3. Pirates
4. Knife Edge
5. Tarkus*
6. Pictures At An Exhibition
7. Still...you Turn Me On
8. Watching Over You
DISC 2
1. Keith Piano Solo*
2. Creole Dance*
3. From The Beginning
4. Lucky Man
5. Fanfare For The Common Man
6. Touch And Go
7. Mars, The Bringer Of War
8. Karn Evil #9 1st Impression Part.2
9. America
10. Rondo
* Live at richfield coliseum, cleveland sep 23rd 1986
HIGHLANDレーベル、プレス2CD。1997年に登場した国産ブートレグ。既発では曲順が入れ替えられておりましたが、本作はコンサート通りに編集して、SBD音源が存在しない曲は他公演のAUDソースをパッチして疑似的な形でコンサート完全再現を目指しています。
しかし、音質面で大きく劣る9月23日クリーヴランド公演の音源をパッチに使用している為、音質の落差が大きく、音源の繋ぎ目も大きな違和感が生じております。これならレイクランド公演の音源だけを編集してリリースしてくれたほうが余程か有難かったと感じます。
当時、ブート業者がどういった機材を使用して編集していたか分かりませんが、編集を繰り返している影響か、音質面でも既発より若干劣っているように感じられます。特に"STILL...YOU TURN ME ON", "WATCHING OVER YOU"の2曲は世代を重ねた別テープを使用していると感じられるほど。
それでも、放送音源を収録した既発盤では曲順が大きく入れ替えられていたのに対し、コンサートの曲順通りに編集してくれているのは大変に有難いです。試みは良かっただけに、もう少し音質に気を配って欲しかった。そうしたら、なかなかの良盤として評価も良かったかもしれません。惜しい!
ジャケット、インレイの裏側。では音源をどうぞ!
WELCOME BACK 1
WELCOME BACK 2
LIVE SPECTACULAR (AYANAMI-035)
DISC 1
1. The Score
2. Learning To Fly
3. Pirates
4. Knife Edge
5. Tarkus*
6. Pictures At An Exhibition*
DISC 2
1. From The Beginning
2. Lucky Man
3. Fanfare For The Common Man
4. Touch And Go
5. Mars, The Bringer Of War
6. Karn Evil #9 1st Impression Part.2
7. America
8. Rondo
* Live at ??
AYANAMIレーベル2CDR。旧dust n' dreamというダイカン某店製から2000年に登場したブート。レイクランド公演を収録したブートレグは(ギフトタイトルを除き)本作が最後発となるはず。本作登場の3年後にオフィシャル「LIVE IN CONCERT」が登場。以降、レイクランド公演を収録したブート盤はボーナスCDRという非売品形式でしか登場しておりません。
本作は、様々なブートレビューサイトにおいて、レイクランド公演の完全収録・決定盤といった体で紹介されてきました。当時、驚愕の新音源を多数リリースしていた新進気鋭の同レーベル発のブートという点も、評価を一方的に高めることになった理由の1つかもしれません。
しかし、収録曲をご覧頂ければ分かるように実際は不完全収録。既発盤3種にてSBD音源で収録されている"STILL...YOU TURN ME ON", "WATCHING OVER YOU"の2曲が未収録である点が不思議でなりません。高品質のブートをリリースしていた同レーベルにしては珍しく、他のブートよりも収録内容の面で劣っている。
本作が高評価となったもう1つの理由は「"TARKUS"のSBD音源が収録されている」という誤ったレビューが拡がった為ではないかと思われます。本作収録の"TARKUS"は別公演の高音質AUD音源です。続く"PICTURES AT AN EXHIBITION"もAUD音源で収録されています(どの公演の音源をパッチしたか不明)。
AUD音源をパッチしてコンサートの再現を試みるならば、"STILL...YOU TURN ME ON", "WATCHING OVER YOU"、"CREOLE DANCE"などのキースのピアノソロも同じAUD音源を使って再現して欲しかった。"TARKUS"を収録しているのに他が未収録である等、内容的にどうも中途半端な感が否めません。
ただ、同じようなことを試みた既発「WELCOME BACK TO POWELL'S SHOW」と比べて、本作は音源の繋ぎ目を自然に処理している点に好感が持てます。既発では全てフェードインスタートだった"FROM THE BEGINNING"は冒頭のアコギソロから入っており、聴いた方は「おっ!?」と思うかもしれません。実はこれもAUDソースとSBDソースを上手く繋いでいるのです。
現在の編集技術と比べて粗さは残りますが、こういった編集テクニックの積み重ねが現在の同店発ブート名物「欠落部分を他のソースで違和感なく補填」に繋がっていくと思うと、実に感慨深いものがある(誉め言葉)。
本作は音質が優秀とされてきました。確かに高音質ですが、改めて聴くと音がシャリシャリした感じに聴こえます。過剰なイコライジングで音の輪郭をシャープにしているのかもしれません。個人的には、既発のほうが自然な音で聴きやすい印象を受けます。
盤面とインレイ裏面。チープなCDRだが、当時のAYANAMIレーベルのブートは全てこれでした。カタログナンバーが100を過ぎた辺りからシルバーディスクなどに変わっていった記憶が。では音源をどうぞ!
LIVE SPECTACULAR 1
LIVE SPECTACULAR 2
-OMAKE-
せっかくなので、現存するSBD音源を全て集めて個人的に編集した音源をアップしましょう😎
1. The Score
2. Learning To Fly
3. Pirates
4. Knife Edge
5. Pictures At An Exhibition
6. Still...you Turn Me On ~ Watching Over You
7. From The Beginning
8. Lucky Man
9. Fanfare For The Common Man
10. Touch And Go
11. Mars
12. Karn Evil 9 ~ America ~ Rond
以上で、レイクランド公演を収録した手持ちのブート盤紹介は終わりです。なお、ダイカン某店の新レーベル"VIRTUOSO"より登場した「DEFINITIVE BOSTON 1986」(VIRTUOSO 367)についてくるボーナスCDRとして「DEFINITIVE LAKELAND 1986」が2017年に登場しています。単品では購入できない品ですが、レイクランド公演のブートとしては最後発となります。
インフォには「現存するレイクランド・サウンドボードを最高級クオリティ&最大限スケールで網羅した1枚」と謳っておりますが、"STILL...YOU TURN ME ON", "WATCHING OVER YOU"の2曲がやはり未収録。わざとスルーしているのでしょうか。
同じく"VIRTUOSO"より登場した「BACK ON THE ROAD SESSIONS」(VIRTUOSO 189/190)のボーナスCDRとして、FM東京の放送エアチェック音源が「GOLDEN LIVE STAGE」というタイトルで2014年に登場しています。
レイクランド公演のブートは、以上5種類+ボーナスCDR2種を確認。どれが決定盤か、私は分かりません。あとは皆さまで判断どうぞ。わしゃ疲れた😺
-OMAKE Part.2-
所有しているELPOWELLのブートレッグを軽く音源なしで紹介します
BACK ON THE ROAD (AYANAMI-124)
AYANAMIレーベル2CDR。1985年のスタジオ・リハーサルを収録。流出した一連のコージーテープから制作されたブートレッグの1つ。サウンドボードではなく、コージーテープを聴いたことがある方ならお馴染みのテープレコーダーに繋げたマイクで直に録音されたと思われる音質です。スタジオの空気と演奏をそのまま収録したような迫力ある音質は、SBDとは違った迫力を感じます。
音源は、トラクター事故でマスターを消失する前に録音されたものらしく、コージーの所有テープにもBACK ON THE ROADとSCOREになる前の原曲名で記載されていたみたいですね。そのBACK ON THE ROADをメインに収録しており、繰り返し何度も演奏しては途中で止めて何かしら会話をしている様子などが録音されています。
未完成だけに中盤のインストパートはキースが好き放題にアドリブ演奏していたり、コージーも派手に叩きまくっていたりと面白い音源です。曲によっては酷く音割れしているものがあるのが残念。
また、THE MIRACLEはヴォーカルなしですが完成版に近い形で演奏されており、早い時点でほぼ完成されていたことが分かります。他には暫くの間3人が打ち合わせをしている音声など、THE SCOREが完成されるまでの過程を音として記録したブートです。
ただ、この手の音源全てに言えることですが、余程のファンでないとすぐに飽きてしまうかもしれません。後にVIRTUOSOレーベルから「BACK ON THE ROAD SESSIONS」として未収録音源も追加した完全版が出た模様。
SPACE GOSPEL (AYANAMI-165)
AYANAMIレーベル、プレス盤1CD。1985年のスタジオリハーサル音源をサウンドボード録音で収録。上記「BACK ON THE ROAD」よりも後に録音された物のようで、こちらのほうがBACK ON THE ROAD(THE SCORE)はより完成形に近づいております。「BACK ON THE ROAD」と併せて聴くと面白いと思います。ただ、こちらはモノラルSBDで、テレコ直録りの音と比べて迫力はありません。
BACK ON THE ROAD以外のトラックリストには聞いたことがない曲目が並びます。HOOLIGAN, SPACE GOSPEL, SERIOUS PURSUITはいずれもスペーシーなインストで、何かのサウンドトラックにでも入っていそうな曲です。如何にも当時のキースが創り出しそうな曲ですが、まだ制作途中という感が強くて、それほど面白味はないと思います。
BITES THE BULLETはVACANT POSSESSIONのプロト・タイプ。歌詞はまだ未完成だったようで多くの部分で♪ラララ~とガイドボーカルのように流しております。個人的にはこのプロト版のほうが好みかも・・・聴いていて面白い音源です。
POWELL FIRST CONCERT (Blue Cafe-146A/B)
BLUE CAFEレーベル2CDR。86年8月15日テキサス州エルパソ公演をオーディエンス録音で収録。記念すべきエマーソン・レイク&パウエルのデビューライブ。当時としては並み程度のモノラルAUDで低音がスカスカして迫力に欠ける音質です。リリースから10年以上が過ぎているブートで、本作をブートショップで目にする機会が少なくなってきましたが、同じ音源がVIRTUOSOレーベルのボーナスCDRになっています。
本作でまず目を引くのがセットリスト。果たして本当にこのセットだったのか。テーパーが意図的に編集を加えたのでは?と疑ってしまいそうですが、本公演以降もTHE SCOREの後にTARKUSを演奏しており、8月はこの流れで固定していたようです。
キースとグレッグの2人とも特にミスもなくソツなくこなしている印象です。音源はカットが目立ちます。THE SCOREの終わりにキメる所でブツっと途切れる、TARKUSの途中でも途切れる箇所がある、PICTURES AT AN EXHIBITIONの最後も切れる、PIRATESの後に途切れるなど所々でカット跡があります。
EMERSON, LAKE & POWELL - THE MIRACLE (Blue Cafe-102A/B)
BLUE CAFEレーベル2CDR。1986年9月13日ニュージャージー州イースト・ラザフォード公演?と、8月19日ルイジアナ州ニューオーリンズ公演をそれぞれオーディエンス録音で収録。まず8月19日ニューオーリンズ公演について記載します。
ニューオーリンズ公演はたった3曲の収録ですが、本編以上にかなり貴重な重要音源です。ツアー開始3日目でセットが日々流動的な時期の音源で、この日はなんと「THE MIRACLE~LOVE BLINED~STEP ASIDE」という、他の日には一切演奏されなかったと思われる3曲が披露されております。これはファンなら是非とも聴いておきたいところでしょう。
冒頭、LEARNING TO FLYの最後からフェイドインしてコージーの強烈なシンバルの1打からTHE MIRACLEがスタート。続くLOVE BLINEDともスタジオテイクに沿った演奏ですが、コージーの重くて的確なリズムの1発1発がとにかく心地よい。前者は荘厳に、後者は実にドライブ感のあるロックナンバーに変化しておりスタジオよりも素晴らしい演奏です。
グレッグも好調で特にLOVE BLINEDは声がよく出ています。この曲はライブ演奏のほうが魅力が大きく増します。どうしてセットから外してしまったのか不思議でなりません。対照的にSTEP ASIDEはスタジオとの差は無く、こちらは外して正解だったのではないでしょうか。
残念ながら音質は悪いです。ステレオAUDだと思うのですが判別しにくく、ステレオ感はほぼゼロでモノラルに感じられます。低音を拾っており音の厚みがあるので迫力はそれなり、そこが救いです。
続いてメインの9月20日MSG公演・・・ですが、海外の音源投稿フォーラムにマスターテープからFLACファイル化されたというMSG公演の音源が投稿されました。それを聴いて、本作と全く違う演奏内容であることを確認しました。VIRTUOSO「MADISON SQUARE GARDEN 1986」は、このFLACファイルを元に作られているはずです。
VIRTUOSOのインフォによると「これまでMSG公演とされてきた音源は9月13日イーストラザフォード公演の可能性が高い」と記載されていましたので、その説を採って9月13日イーストラザフォード公演とした次第です。
ちなみにイーストラザフォード公演は過去にAYANAMIレーベルから「MASTERPIECE」というタイトルがリリースされていますが、私は買い逃している為、分かりません
謎が多いこの音源もなかなかよく録れた音源です。音が鮮明でしっかり聴こえます。低音もしっかりしておりペラペラのAUD音源とは違い良好音質です。
ただ、録音レベルが大き過ぎるのでしょう、音量が揺れたり割れがあります。また、全体的に音が若干左側に寄っております。途中、TOUCH AND GOから少し音質が落ちる他、KARN EVIL 9から急にステージが遠くなったような音になります。
GLENS FALLS SEPTEMBER 9, 1986 (HN-004-2CD)
HOLLYNORTHレーベル2CDR。1986年9月9日ニューヨーク州グレンフォールズ・シヴィックセンター公演をオーディエンス録音で収録。同音源を収録したブートレッグにSIRENEレーベル「BATTLE THEME」(SIRENE 266)があります。登場時期から考えても、本作と同じ音源を使用しているはずです。
かなりの高音質で収録されており、ステレオで程よく感じさせるホール空間に鮮明な音です。8月にツアーを開始して数公演を行った後一度休憩を挟んでおり、9月1日から再開となります。ここで後のセットリストの流れが出来上がっております。演奏も完成されており、上で紹介した8月15日のライブと比べてグレッグも完全に本調子に戻った感じです。
本作は、高音質・安定した演奏という点でELPOWELLブート入門にお勧めできる1枚です。出来れば、購入するならジャケットの作りへのこだわりや購入した際の充実感からSIRENE「BATTLE THEME」がお勧めです。
POWER & GLORY (AYANAMI-178)
AYANAMIレーベル2CDR。1986年9月12日ペンシルベニア州フィラデルフィア公演をオーディエンス録音で収録。上で紹介した9月9日グレンフォールズ・シヴィックセンター公演を更に上回る高音質AUD録音で、ELPOWELLの高音質音源として定番中の定番だと思います。
海外サイトでアップされた際にはサウンドボードと誤って表記されたものがありましたが、それくらいの高音質。澄んだ音で低域から高域まで各楽器の音がしっかり聴こえてくる迫力ある音源です。
演奏は非常に安定しており、グレッグが絶好調。フルで演奏されているSTILL...YOU TURN ME ON, FROM THE BEGINNINGは絶品です。ELPOWELLは、グレッグが輝きを放っていた最後のバンドであったと言えるのではないでしょうか。
キースはTARKUSで少しミスタッチがありますが、こちらも全体的に好調で弾きまくっています。ラストのKARN EVIL 9~AMERICA~RONDOは、音質に変化がある訳ではないのですが、グレッグのヴォーカルが突然オフ気味になり、キースのキーボードが全面的に出てきます。
後に、本作をリマスターしたブートレッグ「HEADING FOR GLORY」がVIRTUOSOレーベルからプレス盤仕様でリリースされました。今から購入する方は、そちらを探したほうが良いでしょう。
PHILADELPHIA SEPTEMBER 12, 1986 (BLUE-U 176)
BLUE Uレーベル2CDR。1986年9月12日ペンシルベニア州フィラデルフィア公演をオーディエンス録音で収録。上の「POWER & GLORY」と同じ音源ですが、本作は恐らくネットから登場したFLACファイルを使ってブートにしたのではないでしょうか。本当に微妙ながら音質に差があり、本作は「POWER & GLORY」よりも自然な音に感じられます。マスターをそのまま使用しているのかもしれません。
PASSION & WARFARE (AYANAMI-236)
AYANAMIレーベル2CDR。1986年9月16日マサチューセッツ州マンスフィールド公演をオーディエンス録音で収録。12日フィラデルフィア公演などのSBDっぽく聴こえる音源と比較すると、どうしてもワンランク劣るとは思いますが、非常に聴きやすいステレオAUDです。
冒頭、THE SCOREの前のファンファーレが少し頭切れの状態で収録されており、カットインしてスタートします。展覧会の絵の途中でカット有り、FANFARE FOR THE COMMON MANとTOUCH AND GOの間にカット有り、KARN EVIL 9冒頭が少し欠けておりカットインして始まるといった問題点はありますが、些細なことであり全く気になりません。
後に、BLUE CAFEレーベル「IMMEDIATE VICINITY」、VIRTUOSOレーベル「FABULOUS SHOW」というタイトルで同じ音源が再発されました。かなり古いAYANAMI盤よりも見つけやすいと思うので、これから購入を考えている方はそちらを探すことをお勧めします。
PITTSBURGH SEPTEMBER 21, 1986 (HN-005-2CD)
HOLLYNORTHレーベル2CDR。1986年9月21日ペンシルベニア州ピッツバーグ、シリアモスク公演をオーディエンス録音で収録。本作も高音質ステレオAUDで他公演の録音物と比べても遜色のないレベルです。本作も所謂SBDっぽく聴こえるものではなく、バランスよく録音されたAUD音源のお手本のような音質です。
9月に入ってから、ここまでは特に目立つようなミスもなく素晴らしい演奏を聴かせてくれましたが、この日はTARKUSでグレッグとコージーが凡ミスをしている点が面白いです。たまにこういったミスが聴けるのがブートの面白い所。また、この日からSTILL... YOU TURN ME ONの後にWATCHING OVER YOUがメドレー形式で演奏されており、この後はツアー最終日までこの形で固定化されます。
本作とほぼ同時に、AMITYレーベルより「SIREN SCREAMS」というタイトルで同内容のブートレッグがリリースされました。恐らく同じ音源を使用して作られていると思います。両方ともネット上に登場したFLACを基に作られているのでしょう。
THE COURT OF THREE KINGS (HL394/395)
HIGHLANDレーベル、プレス盤2CD。1986年9月23日オハイオ州クリーヴランド、リッチフィールド・コロシアム公演をオーディエンス録音で収録。アナログブート時代から存在している定番音源で「WELCOME BACK TO THE SHOW」といったタイトルでリリースされていました。本作はフェードイン・アウト箇所がない為、アナログ盤起こしではなくテープから直接作られたものだと思われます。
このブートがリリースされた99年当時、ELPOWELLのブートCDはFM放送された定番レイクランド公演やリハーサル音源など、ごく僅かな数しか存在していませんでした。ELPOWELLのライブが聴ける数少ない音源だったので、繰り返し聴いた思い出深い1枚です。
ザラついたノイジーな音で、世代を重ねたテープを使用しているのか若干シュワシュワしている感じです。今は優良音源が多数出回っているので、敢えて本作に手を出す必要はないと思います。
THE SCORE IN MILWAUKEE (Blue Cafe-147A/B)
BLUE CAFEレーベル2CDR。1986年10月22日ウィスコンシン州ミルウォーキー公演をオーディエンス録音で収録。インレイには21日と記載されていますが誤りで、21日はミネソタ州セントポール公演です。21日の音源は「MARS, THE BRINGER OF WAR」(AYANAMI-008)として過去にリリースされています。
この時代の平均的なモノラルAUD音源で、お風呂場で聴いているようなエコー強めの音ですが、楽器の音をしっかり拾っているので割と聴きやすいです。若干ペラペラしておりパンチに欠けた音ですが、ブートに慣れた人なら問題なく楽しめると思います。
オープニングのファンファーレが流れるまでに、実に冒頭40秒に渡り会場の音を収録。そこからファンファーレ、THE SCOREとなります。問題個所として、PICTURES AT AN EXHIBITIONの頭が切れており途中からカットインで始まる、TOUCH AND GOの冒頭6秒ほど音質が別音源のように変化する、といった点があります。
WAR ENSEMBLE (AYANAMI-084)
AYANAMIレーベル2CDR。1986年10月29日カリフォルニア州オークランド市フライジャーセンター公演をオーディエンス録音で収録。やや遠い位置からの録音と思われます。音像が少しばかりボヤっとしている感じもしますが、ホールエコーはそれほど気にならず、楽器の音もしっかり聴こえます。一連のAYANAMIブートの中では本作が音質面で最も劣りますが、平均以上の高音質ステレオAUD音源であることは確かです。
THE SCOREの途中でコンサートOP用のファンファーレが流れてしまう珍しいトラブルがあります。こういったトラブルが聴けるのはなかなか面白いです。些細な事ですが問題点もあり、TARKUSはカットが2か所アリ、FANFARE FOR THE COMMON MANから急に音量が上がる、TOUCH AND GOは冒頭が少し欠けた状態でカットインといった問題点があります。
コンサート中盤で、例のウルサイ客やその仲間たち?が「コージー!コージー!」と叫んでいるのが印象的です。この日は普段以上にコージーのプレイが冴え渡っています。特にTARKUSやAMERICAでのコージーは素晴らしすぎます。
COSTA MESA OCTOBER 31, 1986 (BLUE-U 177)
BLUE-Uレーベル、2CDR。1986年10月31日カリフォルニア州コスタ・メサ公演をオーディエンス録音で収録。かつて「HALLOWEEN NIGHT DREAM」という1CDの不完全収録ブートが存在しましたが、遂に完全収録盤の登場です。
非常に澄んだ高音質ステレオAUD録音ですが、カット箇所が多いのが少々残念。TARKUSは途中でバッサリとカットアウトされてしまう。DREAM RUNNERの途中にも1か所カット有り、FROM THE BEGINNINGは終了直前でカットアウト、続くLUCKY MANは途中からカットインします。それ以外はカットもなく、音質も終始安定した状態で収録されています。
ただ、本作はそれ以前に大きな問題があります。恐らくネットからダウンロードした音楽ファイルを利用して作られたと思われ、制作時にきちんとギャップ処理をしなかったのか、トラックが変わる度に「ブツッ」とノイズが入ります。これは音質やカット云々以前の欠陥商品だと思います。
本作と同時期に、WINDMILLレーベルから「HALLOWEEN 1986」というタイトルがリリースされています。恐らく同じダウンロード音源を使用していると思われます。購入するなら絶対にWINDMILLレーベルをお勧めします。
PHOENIX LAST FLIGHT (Blue Cafe-96A/B)
BLUE CAFEレーベル2CDR。1986年11月2日アリゾナ州フェニックス公演をオーディエンス録音で収録。初登場となるツアー最終日を収録した音源です。
優良音源揃いのELPOWELLブートの中ではそれほどの音質とは言えませんが、高音質ではなくても平均を上回るクラスのステレオAUD音源です。世代を重ねたテープを使用しているのかテープの保存状態が悪くて劣化したのか、所々で音がよれたりピッチが怪しくなります。
FANFARE FOR THE COMMON MAN辺りからピッチがかなり不安定で怪しくなります。また、FROM THE BEGINNING後半から突然音質が劣化します。マイクを移動させる音が入っているので、それで音質が変化してしまったみたいですね。
最終日にしてセットが少し変化しており、THE SCOREの後にいきなりKNIFE EDGEを演奏しています。イヤホンで繰り返し聴いても編集された痕跡がなく、この曲順だった可能性が高いです。前日のサン・ディエゴ公演までは通常のセットリストだったみたいですが、どうしてこの日はLEARNING TO FLY~PIRATESをカットしたのか謎です。
最終日だけに演奏は全力で有終の美を飾る・・・という感じではなく、THE SCOREではグレッグが歌わずにすっ飛ばしたり、キースもRONDOでミスタッチが多かったりと割とラフな印象です。
普段が完璧な演奏だけに、こういったラフな演奏は逆に新鮮だったりもします。個人的には音質も演奏もラフで、こういったブートらしいブートは好きでお勧めです。他レーベルからは一切リリースされていない為、本作でしか聴けない音源です。
8月15日エルパソからスタートしたアメリカツアーはこの日で終了し、87年にはヨーロッパや日本ツアーも計画されていたそうです。しかし、(一説によると)マネジメント関係者に予算を使い込まれた為に、2ndアルバム制作とツアーという契約も全てが白紙となり解散となってしまいました。
アルバムがビルボード23位と好調なスタートを切り、3人のパフォーマンスも非常に素晴らしかっただけに、契約通りもう1枚アルバムを出してツアーをしていたら評価は大きく変わっていたと思います。それだけの実力と可能性を持ったバンドでした。
同時期にGTRなどプログレ系スーパーバンドが活動していましたが、そのどれよりも大物の風格、実力を感じさせてくれたバンドだったと思います。とにかく運がなかった。
以上で終わり😪